マレーシアの山奥のジャングルを100km走って学んだ3つのこと


2018年5月12日(土)に開催された、Tailwind Penang Eco 100。23時間55分の時間をかけて、105km(累積標高:3500m弱)のレースに出場してきました。(経費削減、本業の業務時間確保のため、夜行バス移動スタートの帰国後すぐ仕事直行という弾丸スケジュール。)

結果は日本人2位 総合31位(出走256人/完走150人くらい)。赤道に近い、日本とは環境も違いすぎる環境、昼過ぎにスタートしたレース。最初は全く気候に慣れずスローペースな割には心拍はずっと高い状態(170bpmくらい)かつ360度灼熱の太陽(36℃)に打ち付けられ前半のロードでパワーをかなり消耗。

スタート前に日本人トップ総合5位のクアラルンプール在住の選手とスタート前にパシャり。現地に順応してて、本当に速かった。というか、さすがに強かった。

きつそうな顔(フリ)して、これ意外と元気な前半のポイント。

出会った生物は「無数の牛、野良犬、ハエ、コウモリ他、ジャングルにいそうなもの多数」あと「何匹もみた、ゴ〇ブリサイズのアリ」「2匹のワニ@道端」(※敬称略)。前半はこんな感じで夜の後半へ。


後半50kmでの累積3,000mというかなりの標高差は、ジャングルを直登直下するような傾斜を絶対走れない木々の中を、スタート前の「今を精一杯集中する」という言葉を信じ、ただ無心に、ただ限界心拍を超えないぎりぎりのラインで前に進んだ。正直、集中しすぎてこの区間のコースの「記憶が無い」。覚えているのは、前半の疲労が影響し、途中食べたものを全部吐き、何も食べれなくなったこと、あとスコール(の雷の稲光)まじ怖ぇくらい。

レースの記憶が無い変わりに、マレーシアのジャングルの奥で、これからの「人生」でかけがえの無いことを学んだ。(レースのコト聞きたい人いたら、個別に連絡かむかむです。)


①「日本の攻略本の無い世界、を切り開くこと」

マラソンブームが影響し、年々急ピッチで増加するトレラン人気。メジャーなウルトラレース(おんたけ、ハセツネ、信越5岳など)は、就活解禁を彷彿させるようなクリック合戦。それと同時に出てくるのが「レースの攻略本」。「攻略本」があると、ググればすぐに、どのくらいのペースで行けば、想定タイムこのくらい、という「相場」が自身の中で確立される。レース中では「安心感」を得ることが出来る一方で、自身との対話が「自分自身」ではなく「相場」との他者との対話になってしまう。ここからは人それぞれの価値観、成長のベクトルになってしまうのだが、個人的には「自分自身」との対話が楽しいし、人として「成長」できる。

一方、東南アジアのレースはまだ歴史が浅いため情報が無いどころか、それに引き換え謎に攻めたレースが多いから「過去やってみたけど、完走者は優勝者1名でした。でも理由は分かりません。(※2016年 Rinjani 100 )」みたいなリザルトざらで、「はッ??」と思うレースがたくさんある。今回のTailwind Penang Eco 100も100mileの完走率が最大15%程度。100kmも平気で40%台。これも何をどうリサーチしても、この低い完走率とコース状況を証明する資料は、美しく作られたプロモーションビデオしかない。こんなの観ても、思うのは「なんでこんな完走率?タイム?」のみ。

ただ、この「未知の道を一歩ずつ」ゴールに向かって切り開く感覚。練習の時から、ありとあらゆるシチュエーションを悶々と妄想しながら、日々をすごす幸せ。たまらない。これが生きていく上で自分の大切な価値観だと気づいた。

②「地球は楽しいってこと」

日本から南へ約5,000km。地球は全く違う顔を見せてくれた。日本で見る太陽と同じもののはずなのに、あの侘び寂びを感じるような姿は全く無く、ただ力強い顔を。夜の怖いと思った雷も、雲がランタンのように光るくらいの稲光。山は感じたことのない、ぬるっとする砂とゴツイ岩など。地球に生かされ、生きるものとして、一回しかない人生を通じ、地球人として楽しみながら学んでいきたい。

③「笑顔は言語を超えること」

前半の50kmは何度か農村を通過したけどその都度たくさんの子供たちに自転車で追われながら、ハイタッチをしながら「Jepun Hang di sana(日本、がんばれ)」って応援され続けてきた。11箇所のチェックポイントという関門と給水(給食)ポイント。日本の大会以上に、現地のスタッフが暇さえあれば笑顔でサポートしてくれ、送り出してくれた。しんどくて「辞める理由しかない」中で、パワーをもらい「笑顔でスタート」する状況を創り出してくれた。当たり前だけど、一人じゃ絶対ゴールなんてできない。本当にみんなで戦えた環境に感謝。


攻略方法が全く分からないまま、素の自分を表現し、どんな状況も主体的に自分自身を受け入れ、全身全霊で地球に対し表現した、マレーシの105kmの約24時間。ありがとう、Penang Eco 100。絶対のこの遠征で強くなった、2018年。加速度的に成長する姿以外、想像できない。

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