完走者データを分析して見えてきたトレイルの世界(FTR2018男子100km編)

◯完走率で見る?のは本当に正しいのか。

先週の11月18日(日)に終了したFunTrails100K Round 秩父&奥武蔵 のレース。新コースになり「他のレースよりきつかった」という声が多かった反面、完走率は全年代70%超という数字を叩き出した結果に。(この前のインドネシアは70人中9人だった。笑)

トレイルランニングのレースは公式には「距離」「累積標高」で決まるITRAポイントで難易度をはかり、ランナーは自分の過去のレース経験制限時間過去の「完走率」で「本当に完走できる?」というもの推測する。でも、同じポイントでも「アップダウンの多さ(FTRみたい)」「一気登り&下るレース(リンジャにみたい)」とでは全然違うレースとなり、実際本当にその難易度、あってるの?ってなる。


今回は、そんな「本当に完走率という数字は指標として主軸として見て良いのか?」という素朴な疑問に対し、最新の2018年FTR100km男子の「完走者のデータ」を分析してみた。

縦軸に「完走者に対する人数の比率(%)」、横軸に「関門に対するゴールタイムの比率(%)※5%刻み」を示している。(関門タイム比率65%(→制限33時間に対し60〜64.9%のこと))

N値は下記の公式HPに掲載されているデータの表の通り。全体的には、関門タイムの90%(≒29h42min)前後でゴールする人が最大に多く、完走率の割に「関門ギリギリのところを戦った人が多い。」(どうりでキツイという声が、、)


今回のデータは40歳代が全体の45%程度占めるため、全体平均もそこに寄る結果に。あと60歳代がN=20のためデータとしては、今回は分析対象外にしようかと。(のちのちN値は増やしてみたい。)


◯「若手(~39歳)とミドル世代(50歳代)の比較をしてみた

完走者が100人の若手と、123人のミドル世代が良い比較ができそうなので分析してみた。

赤:〜39歳以下/青:全世代平均/紫:50歳代

・〜39歳以下/若手世代の選手の分析

今回の102km(5,659mD+)の制限時間は33時間(優勝タイムは15h2min)。制限時間に対し、55%(≒18h15min)程度で若手のゴール比率に一回波があり、「若手の力のある選手」が一気にゴールをしている。そこから75%(≒24h45min)でもう一度出ている。自分自身この第二波でゴールしているのだけど、おそらくここは「頑張りすぎて途中でへばった選手(=仮眠・ハンガーノック)たち」が多くいる気がする。若手あるあるなのだが、知識や経験が少なく「レース序盤はツッコミ、後半潰れる」という人は各関門別のリザルトを見ても、若手に多くいる傾向に。(←あくまでも仮説)


・50歳代/ミドル世代選手の分析

若手対し面白い結果が出たのは50歳代のミドル世代。とにかく、丸一日以上走っていてからが強い。123人のゴールした選手の中で、制限85%,90%,95%のレンジでゴールした人は22人,29人,25人とここだけで62%。若手は24時間を超えるとめっきり弱くなるのに対し、経験豊富(もしくは強靭なメンタルを持つ)なミドル世代はとにかく後半粘り強いということがこれを見ても証明できると思う。経験やメンタルだけではなく、ジェルや装備品などの準備、または体内の内臓などに若手とは違う何かがあるのかな?(ここはマジで調べてみたい。)


◯まとめ

今回は、自分自身も走ったFTR102kmの公開されたリザルトをもとに分析をしてみた。選手のブログなど主観的なものだけではなく、完走率や累積、距離で見え無い「難易度」が客観的に少し可視化できたと思う。100kmを超えるレースは楽しいけど、気が狂いそうなほど厳しい試合。厳しい場なだけに、安易な気持ちノリだけでレースに望むと「命の危険」だって選手に生じてしまう。自分の限界への「チャレンジ」はすごく良いこと。でも選手は自分自身の成長のためにも「ギリギリのストレッチした目標」をしっかりとデータで調べてからチャレンジすることが求められるかな?と思う。

また、こういったデータをトレランのメーカーさんが自身のユーザーと大会のリザルトをひも付けて、例えば「ジェルを◯◯のように使った選手の△△%が完走し、平均完走率より高かった」なんて、分かればもっと良い大会ブースの運営もできると思うし、何よりもカスタマーである選手の潜在的なニーズに答えることができると思う。そのためには、大会と選手をつなぐシステム設計し「選手以上に選手を知る」という大会運営ができたら、素晴らしいトレイルランニングの世界が作れる気がする。

今後も、いろんな大会を分析してみて、この世界では若いからこそ未来を作る仕組みを考えてみたい。

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