練習は裏切らないー初めて”笑顔で戦えた”100kmの経験 UTGJ@韓国遠征ー


「HODAKA、すごいぞ。お前が2位だ!トップのチス選手とは、たった20分差!」


80km地点のCPで、韓国人スタッフに盛大に鼓舞され、終盤の山へ突っ込んでいった。

しかし、序盤のコースロストで消費した「精神力、そして中盤の猛追で消費した「体力」で、終盤の荒れたコースに対応できる力は残っておらず、結果的に3人パックで追走してきた韓国勢に抜かれたものの、表彰台に登ることができました。

それでも、2年前は関門に引っかかるレベルのランナーが、自己初の【海外レース表彰台】。そし何よりも100kmの山岳レースを【初めて笑顔】で戦い切れた。そんな自分にとっては過去最高のレースでした。


◯Ultra Trail Geoje-Jimaeと難コースへの戦略

福岡空港から40分のフライトで、韓国第二の都市、釜山へ。そこから車で1時間離れたコジェ島という場所が今回のレースの舞台。コースは「100km&D+5790m」とややきつめで、低山の多い広島とほぼ似たようなか環境。とにかく前半のアップダウンが多いレイアウト。

このコースレイアウトだと、通常優勝タイムは14〜15時間くらいかと思いきや、昨年度アメリカ人(韓国在住)の友人の17時間半。何だか雲行きの怪しいレース。通算4回目の韓国での試合で、仲間も多くいるので、いろいろと情報収集していると「韓国イチきついレースだよ、」情報のみ。(どこの区間が、なぜキツいのだろう??・・・)


今回の戦略は、昨年の優勝タイム17時間半を運行計画に、コーチとも相談をして大きくは3区間に分けての設定。今季の設計プラン同様で、序盤で「耐えて」、中盤で「攻め」、終盤は気持ちで「押し切る」。中盤までで、順位を確定させ、表彰台をキープするレース展開を描きました。


◯何も見えない??大苦戦の序盤

午前3時。海岸線をスタートして5km、30分。


もののけ姫のような「真っ白の霧」の森の奥、かつ、コースマーカーが「反射板が無しの白いテープのみ」、かつ、コースは「倒木」だらけ。


GPXデータで相棒の時計がナビゲーションするにも関わらず、視界は10mもない影響で、一度コースを外すと、ロストオンパレード。序盤から、トップ集団は愚か、入賞圏外、かつコース外で転倒を繰り返し、戦略を確実に遂行するために最も大切な相棒のストラップを壊し使用不可に。出鼻から最悪の展開のレースでした。


◯練習は裏切らない。

地獄の何も見えない展開から、足は温存されていたため、朝日が上がって視界が晴れたらプッシュして、なんとか序盤は想定より30分遅れで、6位で通過。ここからの中盤セクション約42km(D+1620m)は、序盤の大苦戦とは一転、すごく楽しかった。このセクションのコース設定は、28歳の夏に広島で死ぬほど練習してきた「距離」と「標高」とほぼ一緒だった。


これ以上の「安心感」はない。相棒はいなくても、大丈夫。身体が全て覚えていて、息切れや足の状態から「心拍数」、過ぎていく風景から「速度」は分かっている。あとは戦略通りの表現をすることだけ。練習量に裏付けられる「自信」は結果的に数字にも現れ、中盤セクションは予定より40分早く、全選手1位。つぎつぎ先行する選手をキャッチアップして順位も2位までUPした。


「練習は裏切らない」


中学生ぐらいから聞いた、こんな都合の良い言葉は、正直・どこか斜め上に構えるゆとり世代からすれば、常に半信半疑な言葉。成功した選手だけがキレイごと、として語っている、そんなイメージだった。中盤の過去の自分の経験がものの見事にハマっていく経験は、その外部要因に支配されたような「常識」を自分の中で覆す、そんな経験ができた100kmだった。


ただ面白いのはその後の最後20kmは、精神力・体力も枯渇してかつ、悪天候で「ズルッズルに荒れた」練習したことがないセクション。「練習は裏切らない」の真逆を言うと、こんなセクションは練習したことないので、「練習してないことはできない」ということ。ここは、次回の課題としてちゃんと潰していきたい。


◯まとめ と これから

「点と点をつむいで、線にして、最高のレースを創る」

100kmは全体を見ると超長距離。ただレース中は、10-15km程度で区間切りを行っていて、全体を俯瞰してみて、戦略的にその区間で最高のパフォーマンスを出すか?を常に考える。これが長い距離の醍醐味。


年間4-5日の勝負レースのために、残りの360日の「点」のような練習を、レース中は司令塔の脳が1本の線につむいで、レースを創っていく。となると、創った先のゴールでの最高の笑顔のために何をすべきか?


練習をして「点のバリエーションを増やしていく」しかない。


今回の「最高」のレースも自身の中で輝く一つの「点」として言語化することで形式知として残し、自惚れないでまた次の最高の「線」を描くことに向かって、360日の「点」を描く1日1日を大切にしたいと思う。

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